先の記事でWindowsでのスタンバイはスリープステートの「S1~S3」のいずれかに当たると書きましたが、Windows Vistaでは、仕様が過去のWindowsと異なっていることがわかりました。
具体的にはWindows Vistaのスタートメニューから電源マークのボタンを押したときに出る「スリープ」。これがスタンバイと休止状態を組み合わせた「スリープ・モード」と呼ばれる新しいモードになっています。正式名称は「ハイブリッド スリープ」。
つまり、データをRAM(メモリ)とHDD両方に待避し、省電力状態になるようです。
ACPI規格 | Vista | Vista以外のWindows | 内容 | 別名など |
---|---|---|---|---|
S0 | – | – | 電源がONの状態 | – |
S1 | – | スタンバイ | S0より低消費電力状態 | サスペンド スリープ |
S2 | – | CPUへの給電をOFF | ||
S3 | スリープ・モード ハイブリッド スリープ |
データをRAM(メモリ)上に待避 | ||
S4 | 休止状態 | データをHDD上に待避 | ハイバネーション | |
S5 | シャットダウン | シャットダウン | 電源がOFFの状態 | シャットダウン |
表を整理し直すとこんな感じでしょうか。スリープ・モードからの復帰には「RAM(メモリ)にデータが残っていればそこから復帰」するか、何らかの電源障害[1]が起きた場合には「HDDから復帰」するようになっています。
つまりスタンバイ状態にしたまま停電やバッテリー切れを起こしても、HDDが物理的に損傷していない限り、S5から起動するより早く復帰できると言うことになります。
S3・S4のいいとこ取りのように思いますが、当然のことながらRAM(メモリ)に通電し続けることになりますので、S4単独使用時よりも待機電力量は多くなります。中には従来のWindowsのように、「休止状態」だけを利用したい人もいることでしょう。
Vistaでは「休止状態」をGUIから有効にする方法がありません。有効にするにはコマンドを入力する必要があります。
まずは使っているパソコンが休止状態に対応しているか、管理者権限でコマンドプロンプトを呼び出し、次を入力してみます。
powercfg /a
すると、私のパソコンではこのようなメッセージが返ってきます。
以下のスリープ状態がこのシステムで利用可能です: スタンバイ ( S3 ) 休止状態 ハイブ
リッド スリープ
以下のスリープ状態はこのシステムでは利用できません:
スタンバイ (S1)
システム ファームウェアはこのスタンバイ状態をサポートしていません。
スタンバイ (S2)
システム ファームウェアはこのスタンバイ状態をサポートしていません。
BIOSでスタンバイの定義をS1~S3のどれに設定しているかによって、多少表示されるメッセージに違いはあるかもしれませんが、ほとんどのパソコンの場合、「スタンバイ ( S[1-3] )」「休止状態」「ハイブリッド スリープ」の3つが利用可能になっているはずです。
この状態で休止状態を有効にするには次を入力します。
powercfg /hibernate on
画面上は何も変化がありませんが、これで有効になりました。スタートメニューからシャットダウンを選択してみると…
きちんと休止状態が選べるようになっています。ちなみに、休止状態が表示されているときのスリープは「スリープ・モード(ハイブリッド スリープ)ではなく、従来のWindowsのスタンバイ(S3相当)に変更になっている」点に注意。
スリープ・モードと休止状態は共存できないようです。
それにしても省電力状態を示す用語の多さには頭を抱えたくなります。Windows内でも用語が統一できていないのに、次々に新語を作り出すのはエンドユーザに混乱を招くだけだと思うのですが。
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