はじめに
ようやくコンプリートした(と思われる)ので、ファースト・インプレッション、セカンド・インプレッションに続き、ゲーム全体をレビューをしていきたいと思います。今回は最終的な評価と言うこともあり、ネタバレをかなり含むと思います。
ファースト・インプレッション
プレイ開始後2時間時点での感想は、428 ~封鎖された渋谷で~、ファースト・インプレッションにまとめてあります。(ネタバレ無し)
セカンド・インプレッション
プレイ開始後11時間時点での感想は、428 ~封鎖された渋谷で~、セカンド・インプレッションにまとめてあります。(ネタバレ含む)
本編の感想
本編の一通りクリアに掛かった時間は20時間ちょい。全体的にうまくまとまっていたと思いますが、気になった点がいくつか。
- END, BAD END以外にKEEP OUTで終わるものがある
- これは複数の主人公を行き来する上で仕方がないことなのかもしれませんが、一人の選択肢を間違えることでBAD ENDになると、その主人公からでないとJUMPできないキャラクターはKEEP OUTのまま進めなくなってしまいます。「KEEP OUTは他人からのJUMPで解除する」ことだけを頭に入れていると、BAD ENDルートに入ったことに気がつかず、行き詰まってしまいます。
- ENDがENDでない
- まずはタマがENDになるのですが、これは物語のENDではなく、操作終了を意味するENDだと思いました。あまりに唐突にENDになるシナリオ(主人公)があったのは残念。エピローグで最終的にキャラクターが全員集結するようになっているので、できることならそこまで全キャラクターを操作したかった。
- 誤答からJUMP
- 一番悩んだのが17:25の亜智のKEEP OUT。どうやって解除するんだろうと思ったら、17:35の御法川のよくある名前の選択肢からJUMPしなければいけませんでした。普通ならまず正解の「田中」を選ぶだろうに、一度間違える必要があったとは。ここで一度挫折しかけました。
最後の時間帯のBAD ENDでヒントが出ない仕様になっていましたが、ほとんどの場合、主人公がヒントを言ってからBAD ENDになるので全く悩みませんでした。
エンディング後残ったのは、数々の疑問。ボーナスシナリオを終えることでいくつか解決したものもありますが、結局最後まで分からないものもかなりありました。これについては後述。
メイキングDVD
本編攻略後ずっと未開封で取っておいた、予約特典のメイキングDVD「SHIBUYA 60DAYS ~Making of 428~」を見ました。総監督のイシイジロウ氏の「誰もやったことのないことだから出来た」という発言が印象的でした。渋谷の街を実際に封鎖して撮影したシーンもあり、よくぞここまでやったな、という印象。
それぞれのキャラクターを演じたキャストの話もかなりの量収録されており、撮影の大変さ、スチールも動画も何ら変わらなかったという感想が、このゲームの臨場感ある静止画に繋がったと思っています。
加納役の人のインタビュー映像とゲーム映像にギャップがありすぎて驚きました。役者って髪型一つでここまで見栄えが変わるんだ、と妙なところで関心してしまったり。
本編のおまけ要素: ラビリンス
御法川篇の18:05の選択肢でC「裏原宿の『ラビリンス』まで頼む!」を選択するとラビリンスというダンジョンに進むことが出来ます。
これだけはまだ全ルートを試していませんが、少なくとも十数通りは分岐しているようで、終わり方も様々です。なんでもかまいたちの夜ENDがあるんだとか。
音楽・効果音・主題歌
ファースト・インプレッションでも書きましたが、音楽の完成度の高さは予想通り。緊迫したところ、コミカルな展開ごとに棲み分けがされているし、マッチしています。
逆に予想していなかったのはSE(効果音)。基本的に文字を読み進めていくだけのサウンドノベルにとって、SEは重要要素という認識はあったが、このゲームの効果音はとっても臨場感があり、リアル。
主題歌は歌詞がゲーム内容とマッチしており、エンディングにもってこいでした。が、本編では商業的ともいえるくらい上木彩矢がプッシュされており、何もそこまでしなくとも…と思いました。本編中に彼女が登場する静止画が1枚というのもちょっと寂しい。
Wiiリモコンでのサウンドノベルの操作性
サウンドノベルの操作方法として、Wiiリモコンは最適だと思いました。基本的には文章を読み進めるだけなので、片手で寝っころがりながらでもすべての操作ができるWiiリモコンは実にマッチしていると思います。
サウンドノベルは画質、音質ともに重視するものではないため、次世代ゲーム機と言われるXBOX 360、PLAYSTATION 3、Wiiの中からWiiを選んで発売した点は正しいかと。
ボーナスシナリオ: カナン篇 (BLACK BOOKMARKER獲得後)
本編クリア後、最初にBLACK BOOKMARKERを獲得し、TYPE-MOONのボーナスシナリオをプレイしました。奈須きのこ氏の文体は特殊で慣れるまでかなり読みづらかったです。最初の1時間は我慢の時間帯でした。カナンとアルファルドの過去が明らかになったことで、NEVER ENDSのムービーシーンの意味が理解できました。
イラスト+音声というのはある意味斬新で、本編とうまく差別化出来ていたと思います。これが実写であの文体だったら耐えられなかったと思いますが、TYPE-MOON(奈須氏)とのタッグだからこそできたシナリオだと思います。
ボーナスシナリオ: 鈴音篇 (WHITE BOOKMARKER獲得後)
続いてBAD ENDが50個になると出現する我孫子氏のボーナスシナリオをプレイ。
こちらは音楽が印象的。話自体は短いものの鈴音の本編前後の背景が描かれており、延命できた理由が明らかになります。
どちらのシナリオも終盤に本編にJUMPできると分かったときは鳥肌が立ちました。JUMPできる以上、これは”ボーナス”シナリオではなく、本編の一部と考えるべきでしょう。
ボーナスコンテンツ: カルトクイズ428
ノーヒントで解くのは難しすぎるものの、WiiConnect24でヒント(というかほぼ正解)が配信されているのでそれを見れば一発。
1問正解するごとにスペシャルエピソードが1つ読めます。
隠しシナリオ: エコ吉篇
これは完全におまけのやり込み要素だと思いました。亜智のシャツにプリントされているエコ吉を主人公にした、渋谷のもう一つの危機を描いたシナリオです。非現実すぎる上に、JUMPするポイントがどうでもいいところにちりばめられており、探すのに大変苦労しました。
カナン(アルファルド)が亜智を呼び止めるシーンは本編を改変しており、さすがにやりすぎではないかと。
ただ、エンディングでメイキングDVDにも収録されていないシーンを見ることが出来るようになっており、このエンディングは高評価。
ボーナスコンテンツ: エコ吉ドアドア
エコ吉篇クリア後に出現するミニゲーム。この後のPRISMATIC BOOKMARKERを獲得しに行く段階でこのゲーム誕生の経緯が明らかになります。レベル4以降が難しい。
GOLDEN BOOKMAKRDERまで
白黒のしおりを獲得して終わりかと思いきや、まだありました。エコ吉篇をクリア、全てのスペシャルエピソード解禁、BAD ENDをコンプリートするとしおりが金色になります。ここまで29時間程度。
PRISMATIC BOOKMARKERまで
金のしおりを獲得して終わりかと思いきや、まだありました。プロデューサーの隠し要素が2つ残っており、いずれもクリアすると虹色のしおりになります。ここまで30時間。
それでもなお残る疑問
- ジャックは味方だったのか、アルファルドの仲間だったのか
- カナンとアルファルドが撃ち合った後のひとみの血液の行方
- リーランドの身柄の行方
- 加納と留美の婚約はうまくいったのか
- 亜智とひとみはその後会えたのか
- 亜智の父と建野は和解できたのか
- KOKと亜智、KOKと桐生のその後の関係
- 大沢賢治と愛、大沢賢治と大越製薬のその後の関係
- 御法川/千晶の書いた記事と「裸の大将」の売れ行き、遠山の借金返済はできたのか
- 森田ミクのその後
- 柳下純一のその後
- 大杉知里子のその後
などなど…あげればきりがないのですが、とにかく「渋谷での大事件解決!」でブツっとエンディングになっているので、後日談が全く描かれていない点がかなり気になります。制作費(期間)も相当掛かっていることから同じキャストで続編が出ることは難しいとは思いますが、何らかの形でこれらのキャラクターの後日談が明らかになって欲しいですね。来年放送予定のアニメではなく、実写を望みます。
どうせならスペシャルエピソードに後日談を収録しても良かったような気がします。本編中で一度しか出てこない「エンジーズ」のエピソードがあるのに、何度も出てくる「大沢愛」のエピソードが無いのも不満。
総評
総評すると、30時間かけて全部クリアしたゲームはおそらく初めてで、熱中度・ボリュームも満点でした。本編以外にいろいろ付けたせいで、最終レビューでは悪い点もいくつか上げることになりましたが、このゲームシステムと本編の完成度だけでも買う価値があると思います。
あとは公式ファンブックあたりが出て、キャラクターの後日談が明らかになればすっきりするのですが…全てのシナリオを制覇し終えた今の段階でも、かなりもやもやが残っています。もやもやが残ると言うことは、ある意味ここまでゲーム内容にのめり込まされたと言うことで良い方向にとらえようと思います。