発売から3週間経っても未だにAmazonでは在庫切れが続くニンテンドーDS用ソフト「ラブプラス」。私も発売から3日後に注文しても、届いたのは注文から12日後だったりと、コナミの予想出荷を上回る勢いで品薄が続いているソフトとなっている本作。
このゲームはコナミが発売した恋愛シュミレーションゲーム「ときめきメモリアル」などとは異なり、転校してきた主人公が出会ったヒロイン3人の中の1人を彼女にして[1]、恋人生活を送ることを目的としているため、終わりがありません。
どのタイミングでレビューを書こうか迷っていたのですが、熱が冷めぬうちに書いておこうと思い、今日レビューを起こすことに。ちなみに、スキップモードは未使用。現実時間と連動する「リアルタイムクロック」モードのみのプレイ感想です。
システムは至ってオーソドックス、そこに仕掛けられた中毒性
まず、このゲームの恐ろしさは「ゲームシステム自体に目新しさはないのに、毎日DSの電源を入れざるを得ない」ところにあると思います。
よくあるシステムというのはニンテンドーDS用ソフト「ラブプラス」を注文でもあげましたが、例えば以下のような点。
- ヒロインがフルボイスで喋りまくる
- タッチペンを使ってコミュニケーションがとれる
- ゲーム内の時間が現実時間と連動している
- マイクを使ってヒロインと簡易会話を交わすことができる
これらの一部を採用したゲームはこれまでいくつも出てきていますが、今作はそれらをうまく組み合わせて作られています。購入してからレビューを書いている現在まで「ラブプラスを起動しなかった日は1日もない」というのはこのため。
ラブプラス独自の機能がシステムにラブをプラスする
これらのオーソドックスなシステムに加え、ラブプラスでは以下の特徴があります。
- ヒロインが自分の名字、名前を呼んでくれる
- ヒロインの性格や髪型、髪の色から服装まで自分好みにできる
前者は「DSでよくやった!」と言えるでしょう。多少ネタバレになりますが、FrontPage – ラブプラス 呼んでもらえる名前Wikiを見れば収録された呼び方の種類の多さに驚かされるはず。この声は単体レコーディングのためか、前後に会話があるところで呼ばれるとちょっと違和感を覚えますが、それでも自分の名前を呼ばれるうれしさと比べると、それくらいの違和感は実に些細なことに思えます。
後者はいわゆる「カスタマイズ要素」なのですが、パラメータをいじったり、髪の色をRGBで指定するわけではなく、リアルを追求している点が好印象。彼女がごく自然に、会話の中で「髪型、変えてみようと思うんだけど」と話してきます。
カスタマイズというと、どうしても数値パラメータを調整する、あるいはカタログの中から自分の希望をチョイスするといった方法が思い浮かびがちですが、今作はあくまでも「彼女との会話の中で自分の好みを伝えていく」ことに重きが置かれているため、そこはゲーム性を犠牲にして現実感を優先しています。すぐに変更できるわけではないもどかしさも、このシステムの狙いなのでしょう。
魅力的なヒロインと声優
DSのようにポリゴン表示に適していないゲーム端末でもヒロインが魅力的に見える理由は、ずばり「声優」にあると思います。
高嶺 愛花
声優は早見沙織。アニメ「我が家のお稲荷さま。」のコウ役や、「東のエデン」のヒロイン、森美咲役の印象が自分の中では強いですね。
『主人公と同学年で、テニス部のチームメイト。文武両道の優等生で、箱入りのお嬢様。』と公式サイトには掲載されています。
小早川 凛子
声優は丹下桜。アニメ「カードキャプターさくら」の主人公、木之本桜役の印象しかありませんでした[2]。
『主人公の下級生で、同じ図書委員。本と音楽が好きで、一人でいることが多い。』と公式サイトには掲載されています。
姉ヶ崎 寧々
声優は皆口裕子。アニメ「カードキャプターさくら」の主人公の母、木之本撫子役の印象しかありませんでした。
『主人公の上級生で、バイト先のファミレスでも先輩。』と公式サイトには掲載されています。
主人公と比べて年下、同い年、年上のヒロインが1人ずつ、性格も三者三様になっており、自分好みのヒロインがかなりの確率で見つかるのではないでしょうか。個人的にはC.Cさくらの中の人こと、丹下桜が演じる小早川 凛子がお気に入り。
随所に見られるリアリティー
物語を進めるとヒロインとメールのやりとりが行えるようになるのですが、このメールシステムが実に良くできています。
相手からのメールに対し、主人公が返信する内容は選択肢[3]が用意されているのですが、その選択肢によって相手のメール返信までの待ち時間が異なるようになっています。
このウェイトが絶妙で、あるときは送信後数秒で返信がきたり、またあるときは1分程度待たされたり、またあるときはいつまで経っても返信してこなかったりと、とことんリアリティーを追求してるほか、メール保護機能までついています。お気に入りのメールはいつまでも保存できるようになっているあたり「何もそこまでしなくても・・・」と思える設定の細かさです。
デートの約束は「電話」「メール」を使って行い、その際約束した時間は現実時間と連動しています。デートの約束をした日から当日までは「彼女の気持ちが冷めにくくなる」ほか、デートのキャンセルはできる[4]ものの、時間変更は出来ないなど、「デートの約束をしたこっちが当日までドキドキ[5]」する仕掛けも施されています。
ユーザーを飽きさせない工夫
ここまでゲームに拘束されると熱中しすぎるあまり、あるときふっとゲームを投げ出してそのままプレイしなくなることが考えられます。そういうユーザーのこともちゃんと考えてか、以下のような工夫が凝らされています。
- ゲーム起動時に、直前まで一緒にいた彼女が「今日の一言」を喋ってくれる。敬老の日など、イベントがある日にはそれに応じたセリフも
- ゲーム中のBGMが春夏秋冬によって変わる
- ヒロインにそれぞれテーマBGMが数種類ずつ用意されている
- デート先によってBGMが変わる
- 彼女と仲良くなるにつれメール着信音を「着ボイス」に変えられるようになる
今後の可能性
ラブプラスのセーブデータはワイヤレス通信でコピーが行えるようになっており、今後は「ラブプラス以外のゲームでもデータを利用できるように」していくとのこと。
気が早いかも知れませんが、Wii Fit Plusの様にイベントを追加した「ラブプラスプラス[6]」が出た場合も、データの引き継ぎを行えるよう、きちんと配慮されている点からも、今後の可能性は無限大、と言ったところでしょうか。
あまりにリアリティーを追求した結果の弊害
たかがゲーム、と思わせない作りになっているせいか、「セーブスロットが3つあるのに、ヒロインを3人同時進行することに罪悪感を覚える」現象が起きています。いわゆる「二股、三股」の状態。
各セーブデータは連動していないため、実際には別々にヒロインを彼女にすることは可能なのですが、ここまでリアルに作られてしまうと2つ目、3つ目のセーブデータを作る事すら躊躇してしまいます。
また、声優陣が豪華な故、「自分と付き合っている相手が、ゲーム内のヒロインなのか、中の人である声優なのかわからなくなること」もしばしば[7]。
総評
これほどまでに現実に溶け込むソフトというのは今までプレイしたことがないので「若干戸惑っている」というのが正直な感想です。買って後悔はしていないものの、「軽はずみな気持ちで買うと思った以上に束縛される」ことは肝に銘じて置いた方が良さそうです。