2009年9月に発売されたニンテンドーDS用ソフト「ラブプラス」、2010年6月に発売されたニンテンドーDS用ソフト「ラブプラス+」のレビューに引き続き、最新作となるニンテンドー3DS用ソフト「NEWラブプラス」のレビューをお届けします。
なお、前作に当たる「ラブプラス+」からのセーブデータ引き継ぎを行っています。ヒロインデータは「高嶺愛花」です。
前々作についてはニンテンドーDS用ソフト「ラブプラス」レビューを、前作についてはニンテンドーDS用ソフト「ラブプラス+」レビューをそれぞれご覧下さい。
前作「ラブプラス+」からの改良点
グラフィックが大幅向上
まずはなんと言ってもプラットフォームが「ニンテンドーDS」から「ニンテンドー3DS」に移った事による画質の向上です。今作は3DSの3D立体視にも対応するために、今までのラブプラスシリーズには無い「横持ち」プレイに対応しています。横持ちとなるとその立体視機能のためにフレームレートは若干落ちますが、従来のプレイスタイルである縦持ちにすれば、前作までと遜色ないフレームレートで滑らかに彼女が動いてくれます。
個人的には髪の毛の動きに驚きました。前作は歩くモーションに合わせて、髪の毛がカクカク動く程度でしたが、今作は加速度を利用し、より本物に近い髪の動きになっています。
実在する本を一緒に読める「読書月間」イベントの追加
今作では実在する本を一緒に読み進める「読書月間」なるイベントがあります。高嶺愛花の場合は「赤毛のアン」になります。
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おもしろいのが講談社から出ている文庫本が「高嶺愛花」仕様の表紙になっていること。ゲームの中の彼女と一緒にストーリーを追いかけることが出来るのであれば、普段読書をしないゲームユーザーも本に興味を持ってもらえる、と考えたのでしょう。
講談社、コナミどちらから話を持ちかけたのかはわかりませんが、こうした実世界とリンクしたシステムは、当ゲームにはもってこいなのではないでしょうか。
「スキンシップ」がどこでもできるように、バリエーションも追加
ラブプラスシリーズの醍醐味となるスキンシップが、今作では彼女との会話中にいつでもできるようになりました。種類もペンでなぞる「なでる」だけでなくつっつくようにして「くすぐる」や、手前に引くように操作して「引き寄せる」行為が可能になりました。
1作目からあった人目ゲージに合わせてこれらの行為を組み合わせることで、彼女との距離を縮めていく仕組みのため今までのように「ただなぞっているだけでキスができる」ことはありません。これについては「単純作業から脱却し、キスにゲーム要素を取り入れた進化」と評価するか、「簡単に彼女にキスできなくなったので改悪」と評価するか分かれるところです。
(マナカレシ向け)名字、名前を呼び捨てで呼んでくれるように
ヒロインが読み上げてくれる名字、名前のバリエーション増加にともない、マナカレシ待望(?)の下の名前呼び捨てが可能になりました。彼氏は彼女のことを「マナカ」と呼び捨てすることが出来るのに、彼女は彼氏のことを「(名字)くん」or「(名前)くん」としか呼んでくれないため、カップルなのに微妙な距離感がありました。(ちなみにリンコは最初から呼び捨てしてくれます)
今作では彼女も呼び捨てで呼んでくれるようになったため、今まで以上に対等な関係を味わうことが出来ます。
前作からの改悪点
デバッグ不足による全体的な完成度の低下
今作の改悪点はなんといっても「デバッグ不足」の一言に尽きます。
現時点で判明している不具合(バグなのかNEWラブプラスで変更された仕様なのか不明)は、私が確認しただけでも次の10個あります。
- ラブプラスTOOLSで引き継ぎを行うとスキップモードの交際期間が狂う
- リアルタイムモードで「寝る」コマンドを実行すると、メニューボタンが表示されっぱなしになる
- リアルタイムモードでスケジュールを入力すると、強制的に現在時刻までの予定が連続消化する
- 午前5~8時に電話を起動すると、選択肢に何も表示されない
- スキンシップモードでキスカウントゲージの上昇と彼女の言動、スライド中の線の色が一致しない(口調は喜んでいるのに線は青色、ゲージは上昇など)
- 彼女との登下校中、一度画面が暗転する
- キス前スキンシップでタッチをしすぎると、キスに移行してもスキンシップの音声が流れ続ける
- スキンシップモードでタッチをしすぎると、「ザザッ」というノイズが乗る
- 縦持ちしたときにスキンシップが反応しなくなる
- メッセージ表示速度の変更が反映されない
一部についてはKONAMIのFAQページに解決方法が提示されていますが、どれも従来のラブプラスでは発生しなかった事象ばかりです。
ニンテンドー3DSという新ハードの機能を活かそうと思えばそれだけ開発期間もバグも増えるわけですが、この完成度で発売されてしまうと、詰めのデバッグ作業が前作より少ないのでは?と思ってしまいます。2012年のバレンタインデーというイベントに間に合わせるべく、一度延期を発表していますが、もう半年延期すれば見違えるほどの完成度になっていたと思います。
ご当地ラブプラス・旅行システムの削除
ラブプラス+の最大の新機能ともいえる「熱海旅行」は本作では削除されました。この点はまだ良いのですが、同じラブプラス+にあった全国47都道府県のDSステーションと連携した「ご当地ラブプラス」機能も削除されてしまったのはいただけません。
1つの都道府県に約4キャラクター、SPも含めて計200種類以上あった「ご当地ラブプラス」はすれ違い通信で遠方のキャラクターも入手できることもあって、コレクター魂をくすぐるおもしろい機能だと思ったのですが、NEWラブプラスではごっそり削除されています。ゲーム中から参照する方法が無いため、ラブプラス+からの引き継ぎデータに含まれているかも不明です。仮に「NEWラブプラス+」が出るときには旅行イベントともに、このご当地ラブプラスの復活を願うばかりです。
一から作り直したとされる「NEWラブプラス」ですが、初代からのプレイヤーとしてはどうしても「綺麗、だけど重い・遅い」といった感想を持ってしまいます。私の中では「改悪によるデメリット」よりも「改良の魅力」が上回っているため、今更「ラブプラス+」に回帰する気も起きません。不具合を受け入れつつ、そう遠くない未来に修正された新作「NEWラブプラス+」が発表されることを願うばかりです。
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